花を描く(1)
今回のテーマは、「水彩以外のメディウムを併用してみよう」です。カラーインクをペンで使ったり、オイルパステルや色鉛筆も使って、水彩画に表現の幅と活気を与えましょう!
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今回はペンを併用するので、いつもと少し手順が違います。 といいますのも、このあと、水溶性のインクで花を描くことになります。 そうなると、あとから水彩で着彩することはできません (インクがみんな溶けてしまいますので)。 そこで、インクでのペン入れの前に、 あらかじめ最低限の着彩をしてしまおうというわけです。
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繊細なモチーフなので、細めの丸ペンを使って線を描きいれました。 あとから水彩で着彩したときに、このインクとの混色が起こるわけですが、 そのさいに支障にならないような色を選びます。
インクはドクターマーチンの水溶性インクを使いました。このインクは、 乾いてから水で流すと、まったく痕跡が残らないほど溶けきってしまいます (※中には耐水性のインクもあります)。 発色は通常の水彩えのぐより鮮やかでクリアです。 また、色の混ざり方やにじみ方も若干異なります。店頭では、 15ml入り小瓶(右図)が500円ほどで売られており、 色数も豊富に揃っています。
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背景は、少しずつ、慎重に塗っていきます。なにしろ、 せっかく描いたインクの線をフイにしてしまっては大変です!
・・・何故そこまでして水溶性インクにこだわるかといいますと、 どうやらこちらのほうが耐水性インクよりもきれいに仕上がるからです。 考えてみてください。 痕跡が残らないということは、塗りがはみ出したときの痕跡も 消えてなくなるということなのです(はみ出す程度にもよりますが)。
水彩と併用したときに起こる混色の様相もまた魅力的です。 これは、鮮やかで滑らかなこのインクならではの効果だと思います。
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花器、花、葉っぱと、徐々に細かい部分へと筆を進めます。 この技法の場合、なるべく最も向こう側にあるものから着彩して、 手前にあるものは最後に塗るようにすると、きれいに仕上がります。
このとき、花器にもちょっと異質なメディウムを使ってみました。 着彩の前に、白いオイルパステル(クレヨン)を塗っておいたのです。こうすると、 オイルパステルが水彩をはじいて、紙肌の凸凹が現れます。 少しざらざらした、ほかの面の滑らかなテクスチュアとは異質な画面が得られます。
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重ね塗りで全体の調子を整え、花器の影も描き加えました。
ここで、主役である黄色い菊にも色を重ねたいと思ったのですが、 ペンでの描きこみが水溶性インクなので、ここで水彩を使うのは危険です!
でも、無理をする必要はありません。ここは安全策をとって、色鉛筆を使いましょう(右図)。 こうした顔料が紙の上へ乗っかるだけの乾いたメディウムは、 水彩の色味とは異なる質感をもっており、画面に変化を与えてくれます。