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サラブレッドの3大根幹馬が世に知られているのに対して、アラブ馬の起源はミステリアスである。コーランに拠れば、それは「アッラーが一握りの南風から作り出したもの」であり、またベドゥインの伝承によれば、預言者イスマエルがイエメンでとらえた牝馬の仔馬から、アラブ馬の歴史が始まったとしている。 

いずれにしろこの馬種を世界に広めた最初の功労者はマホメットであった。かれはベドゥインから牝馬を買い付けて繁殖を行い、それらが「アジル Ajil」すなわち「純血種」の祖先となったといわれる。マホメットが求めたのはイスラム戦士のための馬だった。スピードがあり、乗り手の動きを妨げず、また士気を鼓舞する勇気を持った馬、それがアラブ馬であった。 

732年、カール・マルテルがポワティエの戦いでその進軍を食い止めるまで、イスラム教はアラブ馬とともにヨーロッパのいたるところへ伝え広められた。とくに占領下に置かれたスペインと北アフリカでは、アラブ馬そのものはもちろん、その馬術と馬文化が強い影響を与えることとなった。 

ベドゥインの人々は馬たちの血統を厳格に管理し、また深い愛情を持ってともに暮らした。仔馬の母馬の氏素性はもちろん、父親がはっきりしなければならなかった。馬たちは人間のごく近くで生活し、いろいろな物を見、また音を聞いて育った。それはいつなんどきでも戦いに出られるように、また外敵の襲撃に備えての訓練であった。同時に馬は彼らにとってはぜいたく品であり、ステイタスの象徴でもあった。 

イスラム戦士の馬
近代西洋におけるアラブ馬

ヨーロッパの文明国はみな自国の馬の改良に熱心であった。しかし突出していたのはイギリスであり、フランスとドイツとイタリアが束になってかかっても、イギリスの馬にはかなわなかった。かれらは最速の競走馬であり、また優雅な容姿の持ち主であった。その基礎となったのがアラブ馬であったことは疑いない。 

イギリス馬の優位性については、イタリアの馬産家カルロ・ノビリが次のように述べている。 
アラブ馬は自然の落とし子である。イギリスのそれは策略から生まれた」。 
そして実際に、イギリスで交配に使われた種馬がアラブ地方へ戻ることは決してなかったという。 

一九世紀にはいると、ヨーロッパの貴族たちがアラブ馬を求めてエジプトへやってきた。イギリスの詩人ブラントとその妻アンもそうした旅行者の一人だった。かれらが母国で作ったクラベット牧場は、イギリスのみならず西洋におけるアラブ馬生産の中核を担う歴史的な存在となった。 

ヨーロッパでは長い間、もっぱら在来のポニーをショー用に作り変えるための素材としてアラブ馬を扱っていた時代があった。しかしロシアとポーランドの生産者たちは、かならず若い馬をレースで使うなどして、その内的能力に重きを置いたブリーディングを続けてきた。見た目ばかりがもてはやされたいわば不遇の時代はやがて終わり、現代のアラブはエンデュランス競技の隆盛に伴って、その能力を遺憾なく発揮し、またより健全な品種に向けての道のりを歩き出している。

純血アラブ馬の定義

Standard of the Arabian Horse

アラブ人が彼らの馬たちに注いだ無限の愛情を理解できるだろうか?

それは馬たちから与えられる奉仕にただ等しく応えただけのことなのだ。

アブド・エル・カダー(アルジェリアの神学者)

 
全体像

理想のアラブ馬がもつ身体と態度の良し悪しを考察するとき、実際には内面の評価が真っ先になされなければならない。すなわち、愛と勇気をもち、気品があり、優雅で、正直で、士気にあふれ、忠誠心と思いやり、知性、そして喜びへの意欲に満ちている、というものだ。

ジュディス・フォービス(米国のアラブ馬産家)

威厳があり、優雅で、とりわけ高貴さと勇敢さが顕著である。気性は活発であるが、扱いやすく、情愛に満ちている。

頭部、頸、尾はそれぞれ高い位置に保たれる。目には活力と情熱の炎が輝いている。

自信に満ちた態度で、しなやかに、素早く、優雅かつ上品に振舞う。バランスの取れたプロポーションは、滑らかな筋肉質の躯体で、それは本来実用目的に適したものであった。

皮膚はきめ細かく柔軟で、絹のように光り輝く被毛は密生している。たてがみと尾は長く、光沢がある。

骨は良質で、当然ながら運動中のバランスもよい。動きは機敏で自由闊達、歩様は軽やかである。


【体高と体重】
き甲までの高さは14・1~15・1ハンド(約144~154センチ)で、個体差によりこれを上回り、あるいは下回る。成体のアラブ馬の体重は通常800~1000ポンド(約363~454キログラム)である。 

【骨格】
一般的に知られているアラブ馬の骨質は、象牙と同程度の密度を持ち、短く幅の広い頭蓋骨は先端で先細りになっており、脳の容量は通常より大きい。眼窩は丸く大きくできている。背中から尾にかけて肋骨と対になって連なる脊椎骨の数が少ないケースがしばしば見られる。(アラブの脊椎骨は17あるいは18個で、サラブレッド種(18個)や一般の馬種(19個)よりも少ない。 

【毛色】
原則的には鹿毛、芦毛、栗毛、青毛の4種。白毛、駁毛、パロミノ、河原毛、粕毛などもまれに現れるが、いずれもアラブ馬本来の毛色ではない。 

【皮膚、被毛、長毛】
皮膚は柔軟できめ細かく、マーキングの下がピンク色であるほかは黒色である。被毛は絹やサテンを思わせる光沢があり、美しい。距毛は除去しておくべき。たてがみと尾、および前髪はいずれも良質で、長く、わずかに波打っている。けれどもきめが粗かったり、巻き毛になったりはしない。 

頭蓋骨は三角形で、横顔はまっすぐか、あるいは目の下あたりでわずかに窪む(こちらのほうが好ましい)。質素で脂肪が少なく、頬骨は広くできている。 

【耳】
小さく、機敏に反応し、柔軟で、互いに寄り添ってまっすぐに立つ(牝馬よりも種馬のほうが小さくできている)。美しい輪郭ははっきりしていて鋭い造形で、やや内側に向かって曲線を描く。薄く、また窪みが深い。 

【額】
大きく、平らで、よく目立つ。 

【目】
黒々としていて、大きい。ずんぐりした楕円形で、大きく開かれた瞳は、表情豊かに輝いている。(碧眼は重大な欠陥である。)目と鼻口部との距離は比較的短い。両目の間には十分な巾がある。頭蓋骨の下部に位置し、通常その下底はほぼ水平である。 

【鼻孔】
大きく、運動時には拡張するが、平時は横顔に平行である。デリケートで、ひじょうに柔軟。よって、ひじょうに大きく拡張することができる。 

【鼻口部】
小さくてデリケート。よく引き締まり、先細った形は優美である。口唇は堅く閉じて、口は長い。 

【下顎の柱身】
まっすぐ(凸状のものはいけない)。 

【顎】
奥行きがあり、枝別れした間隔は広く、きっぱりと分かれており、深く切れ込んでいる。 

頭部
動き
 

機敏で自由闊達、しかるにバランスがよい。動いている最中の一こまを切り取っても調和は崩れていない。 

【並歩】
素早く、自由なものである。後肢がときおり前肢の足跡を追い越すことがあるが、その巾は約20~30センチほどになる。 

【速歩】
とりわけ素晴らしく、まるで「浮遊している」かのよう。前脚の動きは、肩と膝の動きには制限されない。飛節は力強く、十分に動かせる広い空きがあり、また高く上がるので、存分にストライドを伸ばすことができる。 

【駈歩】
滑らかで、よく収斂されていなければならない。断続的であったり、堅苦しいものではいけない。 

【襲歩】
もっとも自由で軽快である。ストライドは長く地面をとらえる。 

THE CLASSIC ARABIAN HORSE
Judith Forbis
Liveright (米) 1976 

ENCYCLOPEDIA OF THE HORSE
Promotiomal Reprint Company(英) 1997

THE PURE-BRED ARABIAN HORSE
Angelo Pesce
Immel(サウジアラビア) 1984 

~参考文献~
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